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今回は言わずと知れたクラフトワークのヨーロッパ特急です。
僕が初めて聴いたのは中学生の時ですが、とにかく勉強になったアルバムです。
殆どのクラフトワークの作品に言えることですが、このアルバムには独語版と英語版(グローバル版)が存在します。
殆どのクラフトワークの作品に言えることですが、独語版のほうがかっこいいです。入手し難いですが、YouTubeである程度聴いたら 慣れたら独語版の方を買うことをお勧めします。
このアルバムの特徴はなんといっても全編渡って漂う デカダンス で 退屈な 雰囲気です。
ではどうやって楽しめばいいのでしょう?
勿論、退屈といっても自称アンビエントやノイズ・エクスペリエンス、フリージャズみたいに時間を無駄にする、という意味ではなくて、音数が少なく繰り返しが多いという事です。
最小限のコード、限られたパート数から紡ぎ出される音楽からは 今の詰め込みすぎ音楽に必要な、引き算の美学 や 侘び寂び さえ感じさせます。(もっとも、最近はポストEDM中心にシンプルな曲が増えてきてる様にもかんじますが。)
オーケストレーションや演奏技法、音圧の上げ方も勿論重要ですが、こういう音楽学を是非最近の若い衆に知ってほしいと思います。(ブーメラン)
熱くなって言い忘れましたが、このアルバムのテーマは「ヨーロッパ」です。「ヨーロッパ特急」というのは当時運行していた欧州国間特急のことですが、それよりもクラフトワークのヨーロピアンとしてのアイデンティティが漂う作品になっています。
一曲目はズバリ 「ヨーロッパよ永遠に」
どんなリヒャルト・ニコラウス・栄次郎・クーデンホーフ=カレルギー主義が飛び出すのかと思いましたが中身はチャちぃシンプルなシンセ音で構成されているテクノポップですね。
僕はこの曲がクラフトワーク彼ら自身のイズムたるものを見せつけた記念碑的な曲だとおもいます。
ほぼ9分もあるんですが、一回聴いただけでは退屈という感想だとおもいます。というのもほぼ終始同じパートがループで鳴り続け、リードシンセとボーカルが乗るという構成です。
ただ、それぞれのシーケンスパートが進行によってアレンジされ、ドラムもちょっとしたオカズが散りばめられています。
シンセドラムも恐らく手弾きで、僕は絶対やりたくないです。
印象的なMinimoogのメインメロディはなんか ダサい 演歌みたいなかんじですが、この曲になぞのヨーロピアンな感じを出してます。
鏡のホールってタイトルですが、曲の内容は
ナルシストのラルフ君が鏡に映る自分を見てもっとカッコよくなりたいと言う曲です。(大嘘)
イントロから鏡を彼らなりにイメージしたシンセが鳴ってます。
因みにこの音エンベロープジェネレータのリリースでピッチを変えるようにして、三角波のLFOをVCAにかませば簡単に作れます。
重々しいサウンドの展開がありますが、やはりループの原則が終始貫いている曲です。
この曲はなんかCM曲になったみたいなので知っているご年配の方がいるかもしれません。
ein, zwei, trei
というラルフ神の2日酔いのような掛け声で
主題のメロディがはじまります。またなんか演歌みたいで、ちょっとダサい
その後、
ドドチャチャ ドドチャチャ
みたいなワンオク辺りがやったら絶対事故になる盆踊りみたいなリズムがまさかの登場。
当時のPV、かなりやばいです。
ちなみに、タイトルのショールームダミーってのはマネキンの事で、要するに「ワシらマネキン」やでという意味不明な曲なのです。
独語版は「Schaufensterpuppen」という一回口にするとしばらくハマってしまう呪いの曲名でした。
ジョッジョジョジョッ ジョッジョジョジョッ
という電車のリズムで曲が始まります。
でもヨーロッパ特急と言う割にこの速度で走ったら遅すぎませんか?
阪神の普通電車より遅くないですか?
ストリングスのパーッパーッパーッパーッという
出た〜!みたいな和音は神秘和音と言って、ロシアのアレクサンドル・スクリャービン(ヒゲ)が使いはじめた特殊な和音になります。
普通の和音といえば、三度で積むトライアド・コードというものですが、この出た〜!な感じは四度で積んでます。
なんのこっちゃわからんと思いますが、楽譜載せときます。
その神秘和音を奏でている楽器にも注目しましょう。
今の若い衆の耳で聴けばストリングスですが、
おじさん達には往年のプログレバンドが使ってたアレに聴こえると思います。
アレというのはメロトロンという鍵盤楽器で、
各鍵盤に一個テープが付いており、鍵盤を押すとテープが再生され、昨今のサンプラーの様に録音した音色で演奏できます。
でも1つののテープに8秒までしか録音できない上に、ビロビロのテープなので取り替えやメンテが大変です。
クラフトワークが使っていたのはメロトロンではなくVako社のオーケストロンという楽器です。
オーケストロンはテープでなく、波形が書き込まれたアナログ光学ディスクをセンサーで読み取って音色を再生します。
さらに波形は円形にループの形で書き込まれているので半永久的に発音できる仕組みになっています。
オーナーがYouTubeでクラフトワークを演奏している動画がありました。
またこのジョッジョジョジョッ ジョッジョジョジョッというリズム、わりかし音楽業界に影響がありました。
1982に発表されたアフリカバンバータ(グラサン)の「Planet Rock」という曲を聴いてみましょう。
まんまですね。ほぼパクリですね。
この曲はヒップホップの元祖の1つと言われてる曲で、
リズムもクラフトワークの「コンピュータ・ワールド」あたりから取られてますね。
サンプリングと言われてますが引用ですよね。
そう言えば、2012年にクラフトワークが来た時、
会場で3Dメガネをメガネの上に着けて メガネ・オン・メガネ と言ってる人がいっぱいいました。
この曲は全曲からシームレスに繋がるメドレー曲で、ボーカルはありません。
前半が列車の通過音、後半がリズミカルな荒い連結作業音のサンプリング音でなってます。
この金属音、スタジオで鉄パイプとか叩いて作ってるみたいです。サンプルの音が同じなのでテープを切り貼りして作ってると思います。サンプラーが無い時代なので メチャクチャ大変だと思います。
当時ライブではアインシュテュルツェンデ・ノイバウテン並みのステージを見せてくれるのかと思いきや、テープだったそうです。
ドイツ語で連結器を意味する「アップツァック」
なんで連結器なのに終わりなんでしょうね。
Europe Endlessのシーケンスを別のインスタンスにしてオーケストロンの適当な一発録りメロディが乱入してきます。
フランツ・シューベルト(メガネ)のトリビュートと言うことですが、全然シューベルトっぽくないです。
そしてエンドレス、、、エンドレス、、、
と故障して自己ループに陥ったロボットのような声が聴こえます。
そしてコイツら、次回作では本当にロボットになります!
お楽しみに!!